CYCLING

サイクリング画像

金光町からは、国道 2号線を離れて裏道を走りました。道路標識は全く無く、分岐点が多くなるため、再びGPSマップの電源を入れます。
真っすぐな国道と違って曲がりくねった裏道は、その分走行距離も長くなってしまいますが、それは危険な国道を避け、熊本まで事故なく走りきるための手段なのです。
急がば回れとはこの事ですね。

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金光町から走った裏道は、岡山県の西端にある街、笠岡市で終了。そこからは再び国道 2号を走ることになりました。
笠岡市を過ぎると直ぐに広島県との県境があります。軽い峠を越えて広島県に入ると、そこは福山市です。姫路を発って、走行距離は 140キロ。
「まだまだやなぁ」と思わず息が漏れました。
写真は、これより市街地というところの東端。ここから国道と別れて歩道を渡り、写真右上にある線路下のトンネルを通って福山の市街地を西に移動しました。

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福山市にはトレックのコンセプトストア「サイクルハウス ケンズ」さんがあります。
私がこの業界に入った時から社長さんには懇意にしていただいており、若旦那のシミズさんとは少しの期間だけ一緒に働いたこともあり、トレックを扱う同じコンセプトストアということで、是非ぜひ、御挨拶に立ち寄りたかったお店でした。
大きな通りに面したお店は、福山城の西に位置する三吉町にあって、初めて訪れる私でも直ぐに見つけることができました。
私が店に到着した時、ちょうど若旦那のシミズさんが店の入り口にいらっしゃた時でした。

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とても背の高い若旦那は、北海道日本ハムファイターズとオリックスバファローズで2010年まで13年間ピッチャーをされていたという経歴の持ち主。
私は、若旦那、社長と奥さまに暖かく迎えていただき、お菓子とコーヒー、帰り際にはエネルギーフードも頂いて、暖かいおもてなしに胸が熱くなりました。
トレックのコンセプトストアという繋がりで、気軽に立ち寄れるお店という存在は、遠く見知らぬ土地を自転車で旅する者にとって、心休まる宿のように思えました。

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福山市からは、旧山陽道である裏道を通って松永市の東まで走りました。
写真は、松永を過ぎた次の街、尾道。いつも撮っているおなじみの橋のある風景です。これを見ると尾道にやってきたと思えます。時刻は、18時31分でした。
ちょうど補給のタイミングだったので、尾道に入ったところのコンビニで冷やしうどんを購入しました。麺がほぐれず、食べるのにちょっと手間取りましたが、ダシのきいたしょうゆ味が疲れた体にしみわたって美味しく思えました。

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海辺の防波堤脇のベンチで食事を終えた時、日が沈んで灯火が尾道の街を照らす頃となり、これよりヘッドライト、テールライトを点灯させての夜間走行の始まりとなりました。
ヘッドライト 3個、テールライト 3個の合計 6個のスイッチを入れます。これから夜を徹して走ることになり、昼間より大型トラックの交通量が増えるため、今まで以上に事故の無いよう気を引き締めて走らないといけません。その事を肝に銘じてグッととハンドルを握り、尾道の街を後にしました。
日が沈むと一日が終わった感じがするのですが、熊本を目指す旅は続きます。

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19時35分、三原に到着しました。
昼間の気温は29度まで上がりましたが、日が暮れて気温が下って走りやすくなってきました。
姫路を発ってから 10時間以上経ち、走行距離は 177キロ。
熊本まで600キロ以上走ることを考えると、まだまだ先は長いのです。
しかも、三原から国道 2号線は海岸線から離れて内陸へ。
三原から 12キロ走ったところの本郷からは本格的な山岳区間が始まります。
日が暮れて、10時間走って疲労して、先が見えないこの段階で、これから上り坂が続くと考えると、「なんで走ってるんだろう」と思ってしまいます。
ここからは、精神的な強さを試されることになるのです。

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三原の西を流れる沼田川に沿って約 8キロさかのぼった本郷から、最初の難関である山岳区間が始まりました。
広島の市街地までのこの区間に、2つの坂道を越えることになります。
姫路を発って 190キロ走ったその脚で上る坂道は、ゆるい傾斜であっても決して楽なものではありません。
このような状況で坂道を上る場合、焦ることなく出来る限り速度を落として一定のペースを保ち、深い呼吸を心がけます。
最初の峠へは、6キロの坂道を上ります。そこを越えて一旦下り、次の峠へ向かう連続 10キロの上り坂に入りました。
時刻は、20時40分。尾道で補給を摂ってから少し早かったのですが、これから続く長い上り坂を考えて、途中のコンビニで補給を摂りました。
日が沈んだ山深い夜の国道では、一般車の数はめっきり減って、それに代わって大きなエンジン音を唸らせて疾走する大型トラックが目立ちます。
横をすり抜けるトラックの風圧によろめきながら、黙々とペダルを回し、時々ふと夜空を見上げるのです。

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